ののゑさん奮闘記-笑顔で明日は帰還-

レプリから、グレーターエンチャントの魔法書を持つモンスターを教えてもらったののゑさん。
普通の人は滅多に近寄らない秘境、氷の迷宮を迷いなく進んでいきます。
身に纏ってるのはいつものカルミローブではなく、レプリから借りたフルプレートの鎧。
手に握る武器も木刀ではなく、2振りの長いきちんと刃のある刀です。
ののゑ:(強く・・・なったる!)
自分用のフルエンチャント。いつも以上の立派な装備。
とはいえ、慣れない装備と地形のせいでののゑさんは既に肩で息をしていました。
鎧には幾つかの爪あとが。
退けてはいるものの、ここに来るまでに遭遇した数体のモンスターとの戦闘のあとです。
ののゑ:この辺りのはずやけど・・・。
周辺を見回すものの、目当てのモンスターどころかそれ以外のものすら見えず。
ののゑ:えっと・・・確かごっつい2本の角と、いかつい体で・・・牛みたいな・・・。
教わったモンスターの特徴を反芻するものの、周りは相変わらず静かに雪が降ってるだけです。
と、そのときどこからかモンスターの細い鳴き声が。
ののゑ:どこ・・・?
よく見ると、すぐそばの氷壁の壁にモンスターの影が。
ののゑ:いた・・・でやぁぁ!
気合を入れて一気に距離を詰めるののゑさん。でも、その先に目に映ったものは・・・。
ののゑ:う・・・子供?
そこにいたのは怪我をして弱っているモンスターの子供でした。
小さな2本の角と、ふかふかと体を覆う体毛。まるで牛の子供のような姿。
ののゑ:もしかして、こいつ例のモンスターの子供?
どうしたものかと少し悩んだものの、すぐ着ている鎧を脱ぐののゑさん。
そして、下に着ていたローブの袖を引きちぎり、子モンスターの傷口をしばります。
ののゑ:消毒とかしたほうがええんやろけど、これで我慢してな。
傷口に触れたときに、またか細い鳴き声を出した子モンスターでしたが、どことなく痛みに歪む顔?も穏やかになってきたように見えました。
ののゑ:それにしても、なんでこんなところで怪我なんか。こけたような傷やないで。
「アオォォォン!」
そう訝しがってると、遠くから狼のような鳴き声が。
はっと気がつくと雪を踏む足音が近づいてきます。それもかなりの数で。
後ろを振り向くと、眼光のぎらついた狼のようなモンスターが1体。
ののゑ:野犬・・・にしては立派な爪やな。お前がこいつに怪我させたんか?
そう言いつつ、脱いでいた鎧を再び着込みます。
返事は勿論あるわけなく、既にののゑさんは魔法の詠唱を始めていました。
ののゑ:ドライアードルーツ。
雪景色に似つかわない植物のツタがモンスターの動きを止めます。
ののゑ:とりゃああああ!
ソウルショットの光が剣先から瞬き、倒れこむモンスター。
勝負は一瞬で決まりました。その場は。
氷壁の影から新手の同種のモンスターが1、2・・・3・・・4・・・
ののゑ:ちょっと群れすぎちゃうんか・・・。
ざっと数えてみても10体以上のモンスターに囲まれています。
さすがに逃げるしかないかと思ったところに、視線に入る怪我を負っている子モンスター。
ののゑ:(やるしかないか・・・)
きれかかっているエンチャントを静かに詠唱するののゑさん。
ののゑ:お前にもかけてやんないとね。シールド。リジェネレーション。ウィンドウォーク。
不安そうな瞳を向けてくる子モンスターを背に、庇うようにして立つののゑさん。
ののゑ:(こんなとこで倒れられへんねん・・・!)
ある1匹の鳴き声を合図に、ののゑさんとモンスターの群れとの戦闘は始まりました。


レプリ:あの子、大丈夫だろうか。
鬼のような気迫に圧されてののゑさんを見送ったものの、レプリは後悔していました。
危ないモンスターだって沢山いるのに、なんであの子1人で行かせたんだろう。
もうとっくに現役を退いた身ながら、自分もついていけばよかったのではないだろうか?
人の良さの表れる逡巡。
そのとき、家の扉を叩く音が。
レプリ:あの子か?
そう呟きつつ、扉に向かうレプリ。
そして古い扉を開けると、そこにはののゑさんではない冒険者が立っていました。
レプリ:あんたは・・・。
防寒着の端からちらと見える、黒いローブと白い杖。
フードで顔は見えにくいものの、冒険者は息をきらして焦ってる様子です。
「緑色のローブを着て、木刀を持った方向音痴な女がきませんでしたか?」


真っ白い景色が広がる迷宮。
ただ、この場所だけは朱色の血の跡が鮮やかに残っています。
周りには10はあろうかと思われる、狼の姿のモンスターの屍。
そして、刀を杖のようにして体を支えているののゑさん。
何度も危ない場面があったものの、ののゑさんはなんとか子モンスターを庇いつつモンスター達を倒すことができました。
無傷で、なんていうはずもなく。
鎧の隙間の色んな場所から、モンスターの返り血とは別の血が流れています。
ののゑ:はぁはぁ・・・。もう大丈夫やで。
そう言って子モンスターを撫でるののゑさん。
満身創痍といった感じで、意識もはっきりしていません。
ののゑ:とりあえず、おっちゃんのとこに戻らんと・・・な・・・。
「グルルル」
なんとか体を起こそうとしているときに、新たなモンスターの低い唸り声が。
ののゑ:(まだ、いた!?)
もたげた頭を起こして、声の場所を探すののゑさん。
見ると、そこには今まで倒したやつより一回り大きなモンスターが戦闘態勢をとっていました。
ののゑ:まいったね。親玉がいたやなんて。
自嘲気味に呟くののゑさんに、そのモンスターが俊敏な動きで襲い掛かりました。
紙一重でかぎ爪を刀で受け止めるものの、こらえ切れずに体を飛ばされてしまうののゑさん。
ののゑ:ぐっ・・・。
完全に押し倒された状態で、目の前に迫る鋭い牙とかぎ爪。
ののゑ:アイス・・・ボルトっ。
詠唱で現れた氷の刃がモンスターの目に刺さりました。よろめく巨体。
ののゑ:(やった・・・?)
ですが、よろけた体を起こしてカッと無事な目を見開くモンスター。
その視線の先には、怯えている子モンスターが。
ののゑ:ダメ・・・っ。
搾り出した声はかき消されるほど小さく、大きなかぎ爪が今まさに全てを切り裂こうとしていました。
ののゑ:・・・っ。
「カースフィアー」
子モンスターを切り裂こうとしていた爪が、寸前で止まってがたがたと震え出していました。
前足だけでなく、体全体をわななかせているモンスター。
「クーン」
震えを隠すかのように、弱々しい声で鳴いてモンスターは迷宮の奥に消えていきました。
ののゑ:いったい何が・・・。
目の前で起こった出来事を理解できないまま、ののゑさんは倒れこみました。
今日、何度目だろう。
そう思いながら、薄れいく意識の中で遠くからやってくる大型のモンスターの影を見つけました。
2本の角に、立派な大牛のような体躯。まさに成長した子モンスターの姿のような。
ののゑ:もう、どうしようもあらへんな・・・。
意識が完全になくなる前に、大牛モンスターに子モンスターが何事か訴えてるような光景が見えた気がしました。
そこでののゑさんの景色は黒一色になったのです。


ののゑ:はっ。
気がついたら、そこはレプリの家でした。
ののゑ:っっ。痛たた。
外では多少麻痺してた傷の感覚が、暖かい室内の空気のせいではっきり感じられたようでした。
よく見ると、体中に包帯が巻かれています。
ののゑ:助かったんだ・・・。
全身から感じる痛みを背負いながら、ふと言葉を漏らすののゑさん。
レプリ:おぉ。気がついたか。
満面の笑みを浮かべたレプリがそこにいました。
レプリ:傷だらけで戻ってきたから、本当にどうしようかと・・・。とりあえず応急処置はしておいたが。
心の底から安堵したような風で、相変わらず良心の塊のような人だなとののゑさんは思いました。
ののゑ:ありがとう。おっちゃん。おっちゃんが連れてきてくれたん?
レプリ:いや・・・あ、そう!あれから心配になって探しにいったんだ!
少し変な反応をしたものの、ののゑさんは特に気づかない様子。
ののゑ:そっかぁ。ありがとうな。でも、魔法書はあかんかったわ。はは。
レプリ:あぁ、それなら。
と言って、机の上から2冊の魔法書を取ってののゑさんに渡すレプリ。
ののゑ:え?これ。
レプリ:お前さん。モンスターの子供を助けたんだろ。親モンスターがそのお礼にくれたみたいだ。
ののゑ:親子?いや、っていうかモンスターがお礼って・・・。
レプリ:モンスターだって人間より賢いやつだっているさ。
そう笑って、おめでとうと言ってくれました。
ののゑ:うち、やったんや。
そう言ってぎゅっと魔法書を抱きしめるののゑさん。
力を込めた腕がずきずきと痛んだものの、ぐしゃっと崩れた顔で笑っていました。
レプリ:今日は遅いから、ここでゆっくりしていくといい。明日、近くの村まで送っていこう。
そう言ってレプリは部屋から出て行きました。
残されたののゑさんは、そんな話を聞いているのかいないのか。
ののゑ:へへ。
隣の部屋に戻ったレプリ。そこには1人の女が座っています。
黒いローブを着た冒険者。
レプリ:これでよかったのかな?
ののる:ありがとうございます。
レプリ:心配になって追いかけてきたんでしょう?助けたのは自分だって隠さなくても。
ののる:あいつ強がりだから。私に助けられたなんて知ったらむくれちゃいますよ。
レプリ:そんなもんなのかな?
ののるはののゑさんのことが心配で、各地で尋ねながら探して見守ってたようです。
ののゑさんが魔法書探しに出かけたあと、レプリの家を訪ねたのも彼女でした。
それから事情を話し、ののゑさんの向かった先をレプリに聞き。
やっと追いついた頃には、まさにののゑさん(子モンスター)危機一髪の場面。
そこでモンスターを退けたのも、その後ののゑさんを運んできたのもののるでした。
あのとき現れたモンスターは、子モンスターの親だったらしく。
何かを子供から聞いた親モンスターは、ののるを一瞥してののゑさんに魔法書を差し出して、子モンスターを連れて迷宮の奥へと戻っていったのでした。
ののる:色々とあいつが迷惑をかけまして。本当にありがとうございました。
レプリ:いえ、とんでもない。それよりあんな大怪我をしてしまうなんて。私が余計なことを言ってしまったばかりに・・・。
そんなことはありません。と言うののる。ですが、と喋ろうとするレプリを制します。
ののる:あいつは、そう簡単にやられるような軟弱なやつじゃありませんから。
レプリ:信じてるんですね。お弟子さんのこと。
ののる:弟子?
吹き出したように笑い出すののる。
レプリ:違うんですか?
ののる:いや、なんていうんでしょう。あいつは口も悪くて木刀バカで。
「はっくしゅん!!」
隣の部屋からののゑさんの大きなくしゃみが響いてきました。
ののる:でも、大切な家族。でしょうか。


-----1週間後


ののゑ:ののる!見て見て!一撃がめっちゃ重くなった!!
帰ってきたののゑさん。
覚えたてのエンチャントを唱えて得意げ。傷はだいぶよくなったようです。
ののゑ:ののるにもかけたるからな!だいぶ違うでこれ!にひひ。
ののる:ばーか。ウィザードは殴らないっつーの。かけるならシールドのほうだろうが。
ののゑ:えー?なんてー?
はしゃぎすぎて、こっちの言葉も聞こえないみたいです。
無邪気な顔で嬉々として木刀を振ってる木刀娘。
ののる:やれやれ。
苦笑いともため息ともつかない言葉を漏らして、ののるは空を見上げました。
やかましい声を聞きながら、口元が心なしか緩くなっているののる。
青い空はどこまでも広がっています。どこまでも。

                                              -End-






*カースフィアー ・・・ wizの使えるmobを逃げさせる魔法。




ののゑさんのお話を綴ってきたわけなんですが
長くなったものの、これでとりあえず完結です。
でも、これからもののゑさんはきっと冒険していくんだと思います。
というか、物語調にしたのを今では後悔してまs
今では初期村で買えちゃうGマイトとGシールドの魔法書。
昔は迷宮でしか落ちなくて、シヲンで一所懸命うし狩ってました(笑)
この話はそのときのことを軸にしています。
フルプレとカタカタで狩りに行ったり~とか、家族mobひっかけて瀕死になったり~とか。
ちなみにウシ型のモンスターはコールドバッファロー。
狼型のモンスターはスナッチ一家をモチーフにしています。
さて、ののゑさん58でG¥習得記念の話でした!
司遠も56になってインボケ覚えていい感じに。
ののるはまだまだだ(
頑張らないとなぁ。
でも、自分のペースで。
ごーいんぐまいぅぇー!
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